聖書が語る聖餐式の真の意味Part2

 

Part1でお伝えしたように、現在は兄弟姉妹とともに食事をすることと、聖餐式は分離されていますが、初代教会時代は愛餐（夕食会）の最後のあたりに聖餐式があったようです。

 

そしてコリント教会ではこの聖餐式に問題がありました。この教会には金持ちクリスチャンと貧しいクリスチャンが同席し、貧しい者は持参する食事が何もなく腹を空かせる一方、金持ちはごちそうを持ってきて美味しそうに食べている、そんな光景が教会の中で繰り広げられていたのです。

 

そのことをコリント書の中でパウロは強く非難しています。「貧しい人たちをはずかしめたいのですか。」（Iコリント11:22）と。

 

日本の教会では、弁当さえ購入できないというクリスチャンはおられないかもしれません。しかし教会から一歩出た兄弟姉妹の真の生活の苦しさ、また霊的、精神的、心理的な貧困については、私たちはほとんど知らないことが多いのです。いや、知ろうとさえしていないというのが正解かもしれません。

 

かつてマザー・テレサが、「愛の反対は憎しみではありません。無関心です。」と言ったことを思い出しますが、今日の教会の最大の問題点がこの「無関心」なのです。それがコリント教会の本質的な問題であり、聖餐式を汚していたのです。

 

ちなみにこの聖餐式を制定されたのはイエスご自身です。十字架刑の前夜、イエスは弟子たちとともに会食をした時に冒頭の聖句を述べられました。この聖句を熟考していたときに一つのポイントに気がつかされました。

 

ご存知のように、聖餐式はイエスの死を覚えるためのものですし、おそらく多くの兄弟姉妹が聖餐式の意味はなんですか？と聞かれると「イエスの十字架の死を覚え、それに対して感謝するためのものです」と答えるでしょう。

 

ではなぜ、イエスはクリスチャンの交わりの中でこの聖餐式を執り行うように命じられたのでしょうか？もし主の死を覚え感謝するためだけなら、個人で、自宅で実施してもいいのではないですか？

 

実はここが聖餐式にあずかる際に決して見逃してはならないポイントなのです。冒頭の聖句をみると、イエスはパンを裂くことを通して、ご自分のからだを弟子たちに分け与えられたと書いてありますね。イエスは天に挙げられましたが、ご自身の代理として全てのクリスチャンたちにご自分の体を分けて各器官として与えられたのです。

 

イエスが敢えて「交わりの中」でこの聖餐式を制定された理由、それは私たちが地上に置かれたキリストの体として「一つとなる」ことだったのです。パウロがコリント教会の聖餐式を非難した一番の理由は、愛の欠如、無関心という状態の中で聖餐式が執り行われたからです。これは聖餐式を冒涜するものであると考え、それがどれだけ危険なことかを警告するために下記の御言葉を書き送ったのです。

 

「したがって、もし、ふさわしくないままでパンを食べ、主の杯を飲む者があれば、主のからだと血に対して罪を犯すことになります。」（Iコリント11:27）

 

「そのために、あなたがたの中に、弱い者や病人が多くなり、死んだ者が大ぜいいます。」（Iコリント11:30）

 

おそらく初代教会の兄弟姉妹は聖餐式にあずかる際に、主の死を覚え感謝するだけでなく、「同じ聖餐式にあずかっている兄弟姉妹をイエスの故に心から愛します」ということを誓っていたのではないでしょうか？

 

これから後、私たちは聖餐式にあずかる毎に神だけでなく、キリストの体である兄弟姉妹に対して愛を実践しているかどうかを吟味しようではありませんか。